2017/10/24

51歳でどうするよ

25歳では天才たりうる、50歳では努力がいる

これは、僕が、人間の、いや男という生き物がどれだけアホな要素で作られているか(そのことをもっとも良く知っているのは男児を子に持つ世の母親達であろう)を、強烈に感じさせてくれる作家であり詩人、C・ブコウスキー(CB)の「ジェームス・サーバーについて話した日」という短編小説の冒頭である。あの「素晴らしき新世界」を著したオルダス・ハックスリーのそれとは別の作品からの作中引用だ。

ストーリーの流れから、これを書いた時はおそらく彼(CB)は49歳だったと推察される。だからこれは来るべき50歳について「一体どうすっぺかな」とビールかポートワインを片手に、小さな部屋の薄汚いベッドの上で考えあぐねていたのだろうと思われる。

一方、すでに現在51歳の僕がこの小説をはじめて手にしたのはもう何年も前。その時の自分はおそらく何も感じてなかったようだ。というのもこのストーリー自体が忘却の彼方であったからだ。

結局多くの凡人は、その時々の当事者であることでしか理解できない(しようとしない)ことがほとんどなのだ。

つまり、世に出る非凡人とは、現在過去未来を常に当事者の感性で縦横無尽に行ったり来たりできる人間ということになる。

そして、今という時代は僕みたいなおっさんが、おっさんであればあるほど、謙虚に学びを深め努力していくことでしか、非人間的な資本主義、無自覚に拡大するばかりのグローバリズムを生き抜いてはいけないんだろうな。

そんな世界で世に出たければ、の話だが。

この年齢になってふとこの短編集を読み返したことに、何か意味があるのかもしれないしないのかもしれないが、何かに引っかけられたのは間違いない。

それにしてもCBって魅力的なおっさんだ。

2017/10/19

新しい映画鑑賞法

羽田とソウルのフライト時間は、往路は約2.5時間、復路は約2時間だ。
短い。非常に短い。あと30分は欲しい。

いや、出張で頻繁に往復しているので、東南アジアやましてや欧米に比べれば短い分には楽チンで良い。

しかし、僕は無類の映画好きであり、僕にとってはどんな映画でも仕事に繋がる重要なインプットなのである。(何故かはまぁいつか語ろう)

そういう意味で、フライト中の映画は、新作系や普段あまり観ないワールド系(特にアジア系)なんかに触れるまたとない機会なのである。

従って、フライト中に映画を一本しっかり見るためには、2時間という時間は微妙に寸足らずなんである。

実際、フライト中は丸々映画に費やせる訳でも無い。やれ、非常口がどうの、気流がどうの、操縦席からうんにゃら、入国に際してどうのこうの・・・そういった(必要なのは理解しているが)アナウンス時には強制的に度々映像が止まってしまう。多分トータル30分くらいはそんなこんなでモニターは強制的に占領されているんではないかな。

だから、往路で一本観終えられずに、復路で続きを観る、といったことを諦めずにコツコツやっている。

そして、今日まさに韓国から帰ってきたのであるが、2週間前の往路で4分の3程度観ていた「ワンダーウーマン」の結末を堪能してスッキリし、そして続けざまに「22年目の告白ー私が犯人です」を、そうだなぁ、大体半分強くらい消化したであろうか。いや、これが本当に肝心な場面で終わってしまったのである。

残念!次回フライトでリベンジだ!・・・と、大体いつもそういった感覚が残る。楽しんでいるのを強制的に途中でやめさせられるとそう感じるものなんだろうね。なんとか止め、というやつかな!!多分、どの場面であるのかはあまり関係ないのかもしれないが、一回切ることによって、続きへの執着が結構高まるのだろう。

そして、これって結構新しい映画鑑賞法なのではないかと思ったりもしているのだがどうであろうか。僕は、図らずも編み出してしまったのだろうか。

意味があるかどうかは別にして。

映画って、本当に面白いよね。








2017/10/15

静寂

今年、僕は仕事で月の半分程度をソウルで過ごしていることが多い。

だから、
「韓国に結構いるけどさ、週末何してるんだ?」
とよく聞かれる。
「そうだな。貴重な静寂を味わっているよ
とでも気の効いた返事を返せばよかったなと、後になって思うことがある。

大概は、
「えっと、Netflixtと読書とランニングと写真撮りながら街を徘徊したりしているよ!」
と答えてる。80%は正直だ。

しかし、男性、特に家族持ちの男たちには、
「あとはダラダラしてるね」
と付け加える。

「音楽聴きながら、本読みながらベッドでダラダラして、気づいたら寝ちゃってたりさ!」
彼らの中には唇を突き出して頷きながら、何やら納得のいかないような表情をみせる者もいる。

多分、「こいつ、贅沢だな」と羨んでいるのだろう。

男とはそんなものだ。